監督: 本広克行
脚本: 瀬古浩司   山浦雅大
音楽: 菅野祐悟
出演: 佐藤健(永井圭) 玉山鉄二(戸崎優) 城田優(田中) 千葉雄大(奥山)
川栄李奈(下村泉) 山田裕貴(高橋) 浜辺美波(永井慧理子)
品川祐 吉行和子
綾野剛(佐藤)
(2017/09)


  綾野剛目当てで観に行ったのだけれど、意外にも予想以上の映画だった。
キャストにもスタッフにも失礼ながら、コミックスも読んだことはなく当初綾野剛観賞以外には何の期待もしていなかっただけに見終えたあとはちょっと呆然として帰ってきた。
深かった・・・。
見ている途中で「ブレード・ランナー」を思い出した。
人間が、自分たち以外のもの・・・例えばアンドロイドのようなもの・・・そういう彼らの痛みにあまりに鈍感で想像力が無く冷酷であること。
「ブレード・ランナー」のシーンを思い出しながら、空恐ろしく、胸が締め付けられた。
目の前につきつけられたそのテーマにどこか後ろめたい気持ちがして、自分自身を含めた人間にゾッとした・・・アンドロイドと亜人たちとが重なった。
そして、綾野剛演じる恐ろしい亜人のテロリスト佐藤は、まるでダークサイドに落ちたダースベイダーのように悲しい存在だった。
 映画の冒頭シーン、主人公の永井圭が拘束された姿で何度も苦痛のなか死んでは生き返る・・・それはそれは恐ろしい人体実験の場面から始まる。
そして映画の中盤に、一番最初に発見された亜人である佐藤はその状況を20年間にわたって味わってきたことが田中によって話されるシーンが有る。
心底ゾッとするとともに、佐藤の底なしの憎悪の訳が一気に説明された気がした。
佐藤がどれだけ極悪非道でサディステックであろうと、仕方ないんじゃないかと思わせるに充分な理由だと思えた。
 ・・・と、ここまで書いて今更なのだけど、アクションシーン、凄いです。
見ごたえがあります。
川栄李奈ちゃんのアクションがほとんどスタントなのかと思ったら実はそうではなかったことを後に知って、びっくりしました。
アクションの見事さ、ストーリーの深さ、どちらの観点から観ても、見ごたえがある作品です。

2017/10
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