ALWAYS 三丁目の夕日
http://www.always3.jp/05/
監督 : 山崎貴
原作 : 西岸良平 『三丁目の夕日』(小学館ビッグコミックオリジナル連載)
脚本 : 山崎貴
    古沢良太
 
出演 : 吉岡秀隆 (茶川竜之介)
    堤真一 (鈴木則文)
    小雪 (石崎ヒロミ)
    堀北真希 (星野六子)
    三浦友和 (宅間史郎)
    もたいまさこ (大田キン)
    薬師丸ひろ子 (鈴木トモエ)
    須賀健太 (古行淳之介)
(2005年 日本)

 西岸良平のコミック『三丁目の夕日』を知らない人でもその絵を見れば「どこかで見たような…」と思うのではないだろうか。
ビッグコミックオリジナルに1974年から連載され、長く愛され続けている作品の映画化で、2005年日本アカデミー賞作品賞を受賞している。

背景は昭和33年、東京タワー建設中の東京、下町。
映画の重要な舞台となる当時の町並みは、最新のVFX技術で再現しているそうだ。
吉岡秀隆という役者さんが好きなので、それだけでもう見てみようかなと言う気持ちになった作品だが、日本アカデミー主演男優賞をとった演技は期待通りで、堤真一演じる鈴木オートとの対照的なキャラの組み合わせも楽しい。
ご近所同士のドタバタ劇のようなシーンが、ちょっと寺内貫太郎一家風でもあり、お隣同士の関わりが深い当時の商店街の人々の生活が賑やかに描き出される。
街の人々は一人一人皆個性的な魅力があり、それはやはり原作のキャラクター設定の面白さが土台にあるからなのだろうか。
それら脇役を固める俳優さん達もそれぞれの役にぴったりとハマっていて、特に鈴木オートの奥さんを演じる薬師丸ひろ子が昭和っぽくて良い。

 映画の年代と私がものごころついて過ごした年月とは少しずれがあるが、この時代の典型的昭和のエピソードの中には、「そうだった、そうだった…!」と思うものがいくつも有る。
ガラスの引き戸で中の生活が素通しの当時の商店のようす、駄菓子屋さんでのやりとり、集団就職で上京し住み込みで働く六ちゃん。
どれも、覚えのある懐かしい昭和の風景だ。

また、映画の中で重要な役割を果たす様々な小道具…三流の万年筆、いつも同じセーター、つぎがあてられた服、滅多に食べられないシュークリーム…。
それらがモチーフとなる数々のエピソードに、いつのまにか徐々に心が温められていて、見終わったあと、ふっとそれに気づく。
ノスタルジックな気持ちになって、こんな事を考えた。

豊かさが悪いとは思わないけれど、なにか少し足りない…っていうのも良いものだな。

そして心地よい郷愁と共に、しばし幸福感に浸る…。
そんな暖かい作品だ。

 11月には、 ALWAYS 続・三丁目の夕日が、同じスタッフ、主要キャストで公開になるようだ。


(2007/5/11)




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