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http://www.collateral.jp/ 監督 : マイケル・マン 出演 : トム・クルーズ(ヴィンセント) ジェイミー・フォックス(マックス) ジェイダ・ピンケット=スミス(アニー) マーク・ラファロ(ファニング) (2004 米)  巻きぞえになったのは、勤続12年の真面目なタクシードライバー、マックス。 マックスは、その夜たまたま殺し屋のヴィンセントを乗せたために、恐怖の一夜を過ごすこととなる。 映画開始後しばらく、マックスという平凡で誠実な男の、小さな夢や、ありがちなストレスや、ささやかな幸せ、など彼の平凡な日常と、どこか気弱ではあるけれど優しく、また優れた勘や知識を持ちLAの道路を知り尽くしたプロドライバーとしての彼の能力なども、描かれていく。 そして後半大きく関わってくる出来事への布石がおかれたところで、冷酷な殺し屋に扮したトム・クルーズとの運命的な出会い。 銀髪に髭、サングラス、一流の殺し屋であるヴィンセントは、その夜殺害する5人の情報が入ったアタッシュケースを持ってマックスの車に乗り込んだ。 マックスのプロドライバーとしての資質に目をつけたヴィンセントは、その一夜の専属ドライバーとして彼を雇う。 何も知らず引き受けたマックスだが、すぐにヴィンセントの素性を知るに至る。 しかし銃で脅されどうすることも出来ずに巻き込まれていくのだ。 一方ヴィンセントは冷徹に着々と仕事をこなしていく。 人の命を塵とも思わない彼と、ヴィンセントが人一人殺すごとにやりきれない思いを重ねていくマックス。 恐怖のあまり、ヴィンセントの言いなりになっていたマックスは、次第に彼に抵抗し意見するようになる。 そこに警察、FBIが絡み始め、周到なヴィンセントの計画は少しずつ狂い始める。 タクシーという密室の中で、一流の殺し屋と一流のドライバーが「命」について語り合う。 張りつめた空気のちょっとした緩みに、緊張感から産まれた滑稽さがふと挟まれるその瞬間、二人の男の魅力が浮き彫りになる。 そのあたりの見せ方がこの監督の得意とするところのようだが、監督はインタビューでこう語っている。 「この映画には、コミカルな要素はみじんもないはずだった。それでも、ジェイミーとトムが登場する場面のなかには、こちらの意図を超えたところで、思わず笑ってしまうほどおかしいシーンも生まれた。ジェイミーは、そういった瞬間を正確に捉える俳優なんだ」 確かに、この映画でのジェイミー・フォックスの存在感と演技はむしろ主演と言っても良いほどだ。 運命にもてあそばれながらも、次第に強くなっていくマックスは、ヴィンセントの代わりに麻薬組織にのりこみ依頼人フェリックスと交渉をする場面で別人のような度胸と図太さを見せる。 ヴィンセントとの出会いは、確実にマックスを変えていたのだ。 そして、その背景にはいつも大都市LAの夜景が、時には冷たく突き放すように、時には暖かく包み込むように彼らの一夜を見つめている。 ヴィンセントの依頼人フェリックスの役は、先日観たばかりの映画「夜になるまえに」でゲイの小説家を演じていたハビエル・バルデムが演じていた。 いつも思う事だが、役になりきってそのたびにすっかり違う人生を演じきってしまう俳優達の仕事っぷりは本当に見事だ。 |