どろろ
http://www.dororo.jp/
監督 : 塩田明彦
アクション監督 : チン・シウトン
原作 : 手塚治虫
脚本 : NAKA雅MURA  塩田明彦
音楽 : 安川午朗  福岡ユタカ
出演 :妻夫木聡(百鬼丸)
 柴咲コウ (どろろ)
 瑛太 (多宝丸)
 中村嘉葎雄(琵琶法師)
 原田芳雄 (寿海)
 原田美枝子 (百合)
 中井貴一 (醍醐景光)
 杉本哲太  土屋アンナ 麻生久美子
 菅田俊 劇団ひとり きたろう 
 寺門ジモン  山谷初男

 1967/08/27-1968/07/22 「週刊少年サンデー」に連載されていた手塚治虫の同名漫画の実写版映画化。
妻夫木聡演じる主人公の百鬼丸は身体の48箇所を取り戻す旅をしている最中、どろろ(柴咲コウ)と出会う。
父親、醍醐景光が魔物と交わした取引により、生まれながらにして身体の48箇所の部分を持たないまま生まれてきた百鬼丸。
一方どろろは戦乱の世で幼くして両親を亡くし泥棒を続けながら逞しく生きている。

アニメとは違い、舞台となる国も時代も架空のものであるが、その国籍不明の得体の知れなさがチン・シウトンの作り出すアクションとも、物語の醸し出す不気味さとも繋がっていて全体の雰囲気がうまくまとまっている。
捨てられた赤ん坊百鬼丸を救い、作り物の身体を与える医師寿海に原田芳雄、物語の鍵を握る琵琶法師に中村嘉葎雄、醍醐景光が魔物と取引を交わす場所となった寺の住職に山谷初男など重要な役回りの脇をベテランの個性的な俳優が固めていて、それ以外にも劇団ひとり、土屋アンナ、なども登場するユニークなキャスティング。

魔物を一匹倒すごとに身体の一部を一つずつ取り戻す百鬼丸。
そのたびに、戦いはワイヤーアクションを使った派手な立ち回りで退屈しない。
妻夫木聡も、このアクションのために地道な訓練を重ねたそうだが、柴崎コウもまた身軽ですばしっこい予想外にどろろらしいアクションを見せてくれる。

 ストーリーやテーマはやはり手塚ワールド…実に壮大だ。
手塚治虫の作品の多くがそうであるように宇宙や生命をたたえるテーマと同時に人間のダークな、それも思い切り奥深く暗い部分を目の前に容赦なく並べて来る。
完成度の高い原作の映画化は当然難しい。
確固たるアニメの登場人物のイメージは、実写では再現不可能だろう。
だから、あえて原作とは一線を引いて映画なりの百鬼丸とどろろ像を楽しむのが良いかもしれない。
CGの出来や特撮など、いまひとつな感じもあるが全体を通して、悪くない作品だと思う。

 また、音楽にHuun-Huur-Tu(フーンフールトゥ)というトゥバ共和国のバンドの曲「Tuvan Internationale」が使われており、彼等がホーメイ(ホーミー)という独特の歌唱法で作り出す音は、百鬼丸の運命の恐ろしさを表現し人間の強さを讃えるのにぴたりとはまっている。



2007/2/21
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