DREAMGIRLS http://www.dreamgirls-movie.jp/ http://www.dreamgirls.dreamworks.com/
監督・脚本 : ビル・コンドン
原作 : トム・アイン 作詞 : トム・アイン 音楽 : ヘンリー・クリーガー 音楽スーパーバイザー : ランディ・スペンドラヴ マット・サリヴァン 出演 : ジェイミー・フォックス (カーティス・テイラーJr.) ビヨンセ・ノウルズ(ディーナ・ジョーンズ) エディ・マーフィ(ジェームス・“サンダー”・アーリー) ジェニファー・ハドソン(エフィー・ホワイト) アニカ・ノニ・ローズ(ローレル・ロビンソン) ダニー・グローヴァー(マーティー・マディソン) キース・ロビンソン(C.C.ホワイト) (2006 米) ビヨンセ、エディ・マーフィー、ジェイミー・フォックスと豪華な出演者の中にいても、彼女の存在はその歌声と共にどっしりと心に残り、納得のオスカーだと思う。 ストーリーは一言で言うならばアメリカンドリーム…音楽の世界でのサクセスストーリーだ。 もともとブロードウェイで大ヒットしたミュージカルを映画化した作品で、モータウンの創始者ベリー・ゴーディ・ジュニアやダイアナ・ロス、そして彼女が在籍していたグループシュープリームスがモデルとなっている。 音楽界の成功と挫折、光と影。才能とビジネス。表と裏。そういうものが、歌唱力のある出演者達の歌い上げる楽曲とともに描かれ、中でも新人でありながら他を圧倒するジェニファー・ハドソンの歌唱力は評判通り素晴らしい。 …のだが、彼女の、スピーカーから爆風が吹いてきそうな歌声に象徴されるように、このストーリーや音楽はいかにもアメリカ的だ。 この作品がアメリカでのヒットと同様に日本人の気持ちにぴったりくるかというと、それは少し文化的ずれがあるかもしれない。 成功のために前へ前へと出ていくエネルギッシュな逞しさとか、成功者の華やかさと途中で落とされていったものとのコントラストとかを、こんなふうにリアルに見せつけられると、そういう意味で非常に日本人的な私のようなタイプは少々とまどってしまったり、置いてけぼりのような気持ちになってしまう部分も正直あった。 ただ、途中エフィ役のジェニファー・ハドソンが歌う"And I Am Telling You I'm Not Going"には仰天した。 アカデミー賞歌曲賞にノミネートされていた"Love You I Do"や"Listen"も確かに良いが、私はカーティスが去ってしまった絶望の中でエフィが歌うこの"And I Am Telling You I'm Not Going"に、曲が終わった後もただ呆然としてしまい身動きできないくらいの衝撃を受けた。 なんというのだろう、身体の内臓だの汗だのすべてからしぼりだすような歌。 感情をがっつり歌に乗せて吐き出す爆発的な力。 是非、映画のストーリーの流れの中で、目と耳でジェニファー・ハドソンのこの歌を味わって欲しい。 もう一人のストーンズ、ブライアン・ジョーンズ。 そしてビートルズのスチュアート・サトクリフ、ピート・ベスト…。 グループが成功の光を浴びる直前に影に埋もれてしまったメンバーというのは世界中にたくさんたくさんいるのだろう。 この映画のエフィのモデルとなった、シュープリームスのもう一人のメンバー、フローレンス・バラードはその後アルコールに依存するようになって不遇の死を遂げてしまう。 ライトと声援を浴びるかつての同士達の姿を挫折と共に見つめながら、それでも生きていく彼等の人生は私達のより身近に、そしてある意味ではより味のあるもののように感じられる。 そういう観る側の思いが、ビヨンセではなくジェニファーの手にオスカー像を握らせた理由の一つであるかもしれない。 (2007/3/28) |
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