フライド・グリーン・トマト
Fried Green Tometos






監督 : ジョン・アヴネット
出演 : キャシー・ベイツ(エヴリン・カウチ)
  メアリー・スチュアート・マスターソン(イジー・スレッドグッド)
  メアリー・ルイーズ・パーカー(ルースRuth_Jamison)
  ジェシカ・タンディ(ニニー・スレッドグッド)

(1991 米)
 ある日夫とともに親類の叔母さんを訪ねたローズヒル・ホームで、エヴリンはニニーと出会う。
ローズヒル・ホームに付き添いとして住んでいるというその年老いた女性が始めた昔話は、退屈な生活を送っているエヴリンの好奇心を目覚めさせ、いつの間にか物語に引き込んでいった。

 エヴリンの家庭には平和で平凡な日々が流れ、夫はテレビに夢中で妻とのコミュニケーションなど思いもよらず、今日もまたスポーツ観戦にかじりついて妻と食卓を共にしようともしない。
特に大きな問題があるわけでもない夫との、普通に退屈な毎日。
けれど、エヴリンの抱える漠然とした虚しさは、自己啓発セミナーに通わなければならないほどに切実であることも確かだった。

ニニーの話の続きを聞くために、何度もローズヒル・ホームに通うようになったエプリンは、それまで夢中になっていた自己啓発セミナーへの興味も失うほど、その魅力的な昔話にのめり込み自分を重ねるようになって行った。

その昔話とは、今から50年前のアラバマ州で起きた、イジー・スレッドグッドのドラマティックな半生である。
男の子のようにおてんばで気難しい少女イジーは、大好きだった兄のバディを列車事故で失う。
それ以来ずっと心を閉ざしたまま、イジーはまるで野生児のように成長する。
だがある日、その心を初めて開いたのはバディのかつてのガールフレンド、ルースだった。
ここから二人の女性の生涯をかけた友情の物語が始まる。
その後ルースが結婚した相手は、彼女に暴力をふるう乱暴で冷酷な人間で、見かねたイジーは身重のルースを婚家から連れ出す。
そして子どもを育てながらカフェを営業し、男勝りでやんちゃなイジーと優しく芯の強いルースのコンビにカフェは賑わい、黒人達や村の人々を加えた楽しい生活が始まった。
しかし、その平和もかつてのルースの夫が子どもと妻を奪いに小さな街にやって来た夜までのことだった。
ルースの夫は何故か、その夜から行方不明になった。
しばらくして、川から彼の車だけが発見されたが遺体は何処にも無い。
イジーはルースの夫を殺害した犯人として疑いをかけられてしまう。

 人生の折り返し地点で、長年連れ添った夫との生活や自分の人生を見直すということは、女性にとってありがちなことなんだろう。
きっと男性達が定年を期に自分自身を見つめ直すのと同じような意味合いで、女性達はもう少し早く、子どもの自立を見送ったりとか自分の身体の変化、更年期とか、美貌の衰えとか…そんなものをしみじみ感じたりとか、そんな事から特有のブルーな気持ちがのしかかるものかも知れない。
キャシー・ベイツは、そのあたりの微妙な心理をいつもの演技力でとでも可愛らしく滑稽に、また時に切なく演じている。
映画は50年前のアラバマと、現代のエヴリンの日常が交互に展開され、キャシー・ベイツと、ニニーを演じるジェシカ・タンディが50年の歳月を上手く繋いで行く。
そして、ニニーの話を聞きにホームに通ううち、いつしか芽生えていた二人の女性の友情が感動的に描かれる。

ただ、エヴリンがニニーの話によって、再び勇気と自信を取り戻していく過程に今ひとつ違和感があるのは、ストーリーの構成や脚本に少し無理があるからではないだろうか。
この二人の女優を過去と現在の橋渡しとして使うのなら、もっと彼女たちの力を充分に発揮させることができる方法もあったのではないかとちょっとだけもったいない気もした。
 

2004/10/24
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