http://www.gaga.ne.jp/hedwig/ 監督/脚本 : ジョン・キャメロン・ミッチェル 作詞/作曲 : スティーヴン・トラスク ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ 出演 : ジョン・キャメロン・ミッチェル マイケル・ピット スティーヴン・トラスク ミリアム・ショア 『人間はもともと4本の手、4本の足、2つの頭を持った生き物だったのだが、神によって落とされた稲妻で2つに引き裂かれた。その時の片割れ(the other half)を探してさまよう、寂しい二本足の人間達。』 ・・・・・・・これが愛の起源の物語である。 アングリーインチ(怒りの1インチ)、というのは主人公のロックシンガー、ヘドウィグの股間にある、1インチの性転換手術の名残の事で、何故そういう事になったのかというと手術の失敗という悲しい不運のせいなのだ。 東ドイツで男の子として生まれたヘドウィグ(当時はまだハンセル少年)は、ラジオから流れるロックミュージックを子守歌にして育った。 そんな彼の夢はアメリカに渡りロックスターになること。 性転換手術後、結婚してアメリカに渡ったヘドウィグは、まもなく夫に捨てられてしまう。 そんな時失意のどん底で、ベルリンの壁が崩される映像をテレビで見る。 そしてすっかり希望を失ってしまうのだが、同じロックスターへの夢を持つ17才の少年トミーとの出会いが彼女に再び夢を思い出させる。 そして恋に落ちる。 ヘドウィグは、彼女のすべての愛情と魂、もてる限りの音楽のノウハウをトミーに注ぎ込んだ。 しかし、アングリーインチの事を告白した日、トミーは彼女を捨て去っていってしまう。 やがてトミーは、ヘドウィグのオリジナル曲すべてを盗んで、ビルボード1位の大スターにのし上がった。 裏切られたヘドウィグは自らのバンドを率いて、トミーの全米コンサートを追いかけ、トミーにつきまとうかのようにコンサート会場そばのライブハウスやレストランでやけくその巡業をするのだ。 何という粘着気質な・・・・と始めは思うのだが。 もう一人の自分(the other half)を探し求め、いつかこの人こそ!!・・・という人に出会う。 それが錯覚であれ、思い込みであれ、どうせ恋をするならヘドウィグのような愛し方は、一番純粋なんじゃないのかな・・・そんな気がしてくる。 愛を小出しにしたり出し惜しみしたりなんてことはしない。 なりふり構わず、無防備で、小細工も駆け引きもない、全身全霊で、一滴残らず自分のエネルギーと情熱を男に注ぎこむ。 それでも裏切られたら・・・・。 そう、それで裏切られたらもう逃げ込む所も隠れる所も何も無い。 トミーに裏切られたヘドウィグは、抜け殻だ。 全身全霊で愛した分、全身全霊で苦しむしかない。 それがヘドウィグの生き方なのだ。 それがヘドウィグの知っている、唯一の人の愛し方。 粘着だってすれば、なりふり構わずつきまとったりもするんだ!! 最初、とんでもなくアクの強いヘドウィグのキャラクターに、「この主人公に感情移入できるのかなぁ・・」と思いながら見ていたけど、いつしかそんな彼女が愛おしくてたまらなくなってくる。 「なんてイイ女だ」・・・ウルウル(;.;)・・・なんてことになってしまうのである。 けど、実際男の人はこういう女って苦手なんだろな・・・。 少なくとも17才の少年トミーには、ヘドウィグはへヴィーだったろう。 それは、まあ無理もないことだ。 ヘドウィグのすべて・・・・アングリーインチも含めて・・・を受け止めるなんてことは。 主役のジョン・キャメロン・ミッチェルは文句なく良いが、この映画がきっかけでマイケル・ピット(トミー役)のファンになった。 |