Hypnotisoren The Hypnotist 原作: ラーシュ・ケプレル 『催眠』(早川書房刊) 脚本: パオロ・ヴァシルカ 音楽: オスカル・フォーゲルストロム 出演: ミカエル・パーシュブラント(エリック) レナ・オリン (シモーヌ) トビアス・ジリアクス (ヨーナ警部) オスカル・ペッタソン アンナ・アスカラーテ ヨナタン・ボークマン ヘレーナ・アフ・サンデバリ エヴァ・メランデル グスタフ・レヴィン ウルフ・エクルンド よく知っている俳優さんが出るわけではなかったし、ミステリーは特に興味がなかったのだが、「サイダーハウス・ルール」がとても好きな作品だったことと、「催眠」をテーマにしたちょっと変わったミステリーらしき匂いがしたので映画館に足を運んだ。 ストックホルム郊外で一家惨殺事件が起きるところから物語は始まる。 たった一人、15歳の長男ヨセフだけが一命を取り留めるのだが、犯人の重要な手がかりを持っていると思われる彼は昏睡状態で病院のベッドの上。 捜査にあたりヨーナ警部は、なんとか犯人に繋がる情報を得ようとして精神科医のエリックにヨセフの催眠療法を依頼する。 しかし彼は催眠の第一人者ではあるのだが、過去のある出来事を理由に今は催眠療法を封印してしまっていた。 ミステリーなのでストーリーについては何も書くことが出来ないのだが、物語が進んでいくに連れて殺害された一家にもう一人の家族(姉)がいた事が判明。 犯人が彼女をも狙っているはずだと考えたヨーナ警部は、それを理由にエリックに催眠療法をしてくれるよう食い下がる。 そしてついにエリックが封印を解くに至るのだ。 犯人探しはいかにもサスペンらしく何度もこちらの予想を裏切る形で進んでいき、それと同時進行して次第に明らかになるエリックの過去も描かれていて面白い。 しかもこの事件の解決を通して、エリックも過去の呪縛から開放されていくのだ。 その間この精神科医は酷い不眠に悩んでおり妻が止めるのも聞かず睡眠薬を常用していて全く情けない。 催眠にかけては高い能力を持っているのに、いつもうつらうつらしていて頼りならないことこの上ない。 見ていてハラハラ、イライラさせられるのだが、彼の不眠のもととなった苦悩を知るに至るとそんな思いも薄れて行き彼のことが理解できるようになっていく。 そしてそれと共にエリックとその妻との関係も次第に変化していくので、そのあたりは妻の気持ちに共感しながら見ることができる。 原作はスウェーデンでベストセラーとなったシリーズだそうで、確かにストーリーと登場人物の描き方はしっかりとしていて上質のミステリーだった。 |
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2013/5 |