監督: クリストファー・ノーラン
脚本: ジョナサン・ノーラン  クリストファー・ノーラン
音楽: ハンス・ジマー
出演: マシュー・マコノヒー   (クーパー)
   アン・ハサウェイ  (ブランド)
   ジェシカ・チャステイン  (マーフ)
   エレン・バースティン  (マーフ)
   マッケンジー・フォイ  (マーフ)   
   マイケル・ケイン  (ブランド教授)  
  
(2014/12)


クリストファー・ノーラン監督といえば、「バットマンビギンズ」とか「ダークナイトライジング」とかインソムニアとか…、
たくさん名作を撮っているが、私がこの監督の名前を知ったのは「メメント」という作品を見た時だった。
ほんの短期間の記憶しか出来ない男の話で、時系列が現在から過去へ遡っていくという斬新な構成で
・・・とこの映画のことはさておきますが、ちょっとマニアックで面白いので興味がお有りの方はこちらを見てください。

 宇宙を舞台にした作品では、最近「ゼロ・グラヴィティ」を観たのだが、宇宙空間を彷徨う主人公を描くときのあの緊張感、臨場感は、この作品も同じ丁寧な作りだった。

そして、父と娘の絆が同時に描かれていて、それが物語のもう一つの軸になっている。
その2つの軸が、ストーリーが展開していくに連れてどんどん密接に絡み合っていくのだが、その繋がり方、時間の扱い方がやはり面白い。
上記、出演者の名前に娘のマーフ役が3人いることでも想像してもらえるかも。

観終えてから、ああ…あの「メメント」を撮った監督だもんなぁ…としみじみ感じるような。
でも、この2つの映画は対照的でもあって、ミクロとマクロと言うのか、
「メメント」がひとりの人間に寄って寄ってどんどんの奥深くに入っていく感じなのにくらべて
「インターステラー」は、そこからぐいぐいと引いていった宇宙からの視点、物も人の心も遥か遠くから俯瞰しているようなイメージがある(それでもその眼差しはあたたかいのだけれど)。
とにかく14年を隔てたこの2つの作品を比べてみるのはなかなか楽しく、監督の作品の変遷からその思いなどを想像してみたりした。

 人類の新たな居住場所としての惑星を求めて宇宙に旅立っていく父をマシュー・マコノヒーが演じる。
この超遠距離惑星間移動は理論物理学者キップ・ソーン博士の「ワームホール理論」というのを元にしているそうだ。
このワームホールとは、宇宙の一点から遥か彼方離れた一点へ直結しているトンネルのようなもので、映画では、主人公はここを通って宇宙空間を移動していく。
その気の遠くなる距離は実感は出来ないが、父と娘との絶望的な別れを象徴していて恐怖ですらある。

 ただ、物語が後半に行くに従ってそのような観る側の価値観や概念は崩されていく。
距離には何の意味があるんだろう
時間とは一体何なのだろう、
だとしたら別れとは、死とは…
と、固定観念を揺さぶられるような大きなテーマも持った作品だと思う。

3時間近い長さを感じさせない面白さで、観終わったあと本当にしみじみと心が温まるような、それでいてとても衝撃的な作品だった。



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