17歳のカルテ
GIRL, INTERRUPTED
http://www.sonypictures.jp/archive/movie/karte17/intro.html
監督 : ジェームズ・マンゴールド
原作 : スザンナ・ケイセン 思春期病棟の少女たち
脚本 : ジェームズ・マンゴールド
 リサ・ルーマー
 アンナ・ハミルトン=フェラン
音楽 : マイケル・ダナ
出演 : ウィノナ・ライダー (スザ     ンナ)
 アンジェリーナ・ジョリー(リサ)
 クレア・デュヴァル (ジョージーナ)
 ウーピー・ゴールドバーグ    (ヴァレリー)
 ジャレッド・レトー(トビー)     ブリタニー・マーフィ     エリザベス・モス
(1999 米)

 ジャック・ニコルソンの"カッコーの巣の上で"と比較されることの多いこの作品"17歳のカルテ"もまた精神病院を舞台にした映画であるが、作品の出来としてはやはり名作「カッコー…」に数段差がついてしまうかもしれない。
けれど、私にとってこの映画の一番の魅力は、この主人公の年齢の自分に重ね合わせて見てしまうような…、その頃の滅茶苦茶で楽しくて破壊的で衝動的でそして切ない感じを思い出す…そういう要素をこの作品がたくさん含んでいるところだ。
女の子ばかりで、(私の基準では良い意味で)変な子ばかりで、大まじめなトラブルは端から見れば相当滑稽だったろうし、でも本人達にはせっぱ詰まって大事件だったりした。
シニカルな笑いも逆にシンプルすぎるギャグマンガのような笑いもあって、ぐったりと冷め切っていた一方で、やたら熱かったりした。
そういう意味でも、この作品はまさに私にとって青春映画そのものだ。

映画に出てくる施設は、ハリスバーグ(ペンシルバニア州)の実際に使用されていた病院なのだが、そこの風景もどこか懐かしい感じがする。
ボーダーライン・ディスオーダー(境界性人格障害)と診断された主人公スザンナがここで出会う女の子達は、皆それぞれ自分だけの、他人とは理解し合えない苦しみを胸の奥に持っている。
そしてそれを美味く表現する術を知らず、破裂しそうな心をもてあましている。
それをお互いに知りつつ、突き放し傷つけ合い、そして時にはかばい合い慰め合って、そして彼女たちは知らず知らずのうちにどんどん絆を深めていく。

 ウィノナ・ライダーは何故か気になる女優さんで、演技も容姿もとくに好きというわけではないのだが、私は勝手に親近感をもっている。
だから彼女がこの企画に惚れ込んだというのも、製作・主演を買って出たというのも、何となく理解できる気がするのだ。
この作品で2000年度アカデミー賞助演女優賞をとったアンジェリーナ・ジョリーが、とてもいい。
登場人物としては、主人公スザンナよりもむしろ周囲の女の子達のキャラクターに心を惹かれるものがある。
当初顔をしかめて彼女たちを避けていた主人公だけれど、そのすっかり凍り付いた心が溶けていった大きな理由は、精神療養施設でのすったもんだのふれ合い…というより自爆覚悟の不器用なぶつかり合い…の結果なのだと、やはりそれも自分自身と重ね合わせて思うのだ。
 

(2008/2/21)







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