LITTLE MISS SUNSHINE http://movies.foxjapan.com/lms/ http://www.foxsearchlight.com/littlemisssunshine/ 監督 : ジョナサン・デイトン ヴァレリー・ファリス
脚本 : マイケル・アーント 音楽 : マイケル・ダナ 出演 : グレッグ・キニア (リチャード・フーヴァー) トニ・コレット (シェリル・フーヴァー) スティーヴ・カレル (フランク) アラン・アーキン (グランパ) ポール・ダノ (ドウェーン・フーヴァー) アビゲイル・ブレスリン (オリーヴ・フーヴァー) (2006 アメリカ) 「子どもと動物にはどんな名優もかなわない」とよく言うけれど、確かにそうだなと思ってしまうオリーヴ役のアビゲイル・ブレスリン。
あどけない笑顔が映画を見終わってからも心に残って、思い浮かべるたびに微笑ましい気持ちになる。 1996生まれだと言うから作品の中での年齢とほぼ撮影時は同じ、9歳ぐらいだろう。 2007年のアカデミー賞授賞式では、ウィル・スミスの小さな息子さんと二人でプレゼンテーターをつとめ、その時の愛らしく、けれどとてもしっかりした彼女の姿も印象的だった。 映画の中でも、彼女が演じるオリーヴは崩壊寸前の家族をそのストレートな一所懸命さと天性とでも言うべき癒しの力で変えていく、ストーリーの鍵となる存在だ。。 ただ単にオリーヴは自分の夢…ミスコンの優勝…に向かってまっしぐらに突き進むだけなのだけど。 それも彼女の実力では到底無謀な優勝をめざして。 そんなオリーヴによって、バラバラだった家族達が自然にまとまっていく様子が、とても心を温かくワクワクさせてくれる…それがこの作品の持つ力なのだ。 「そんなのは負け犬のやることだ!」というのが口癖の、独自の成功論をかかげる父親リチャード。だけど実は彼自身が負け組寸前の危機に瀕している。 オリーヴの兄ドウェーンは、そういう父親に反発しながら「無言の誓い」を立てている最中で一言も喋らない。 おじいちゃんは麻薬常習の、老人ホームも追い出されたらしいエロじじい。 ママは唯一そんなバラバラな家族の中で奮闘しているのだが、自殺未遂を起こしたばかりの兄弟フランクを家に同居させることになる。 しかもフランクは失恋したばかりのゲイで、彼はパパと価値観が違いすぎて犬猿の仲。 何かというと口論に火がついてしまい、いつも一触即発なのである。 そういうどうにもまとまりようの無い深刻な状態を、個性的なそれぞれのキャラにぴったりの役者さん達がコミカルに演じ、登場人物達が真剣に慌てたり争ったり口論したり…すればするほど笑えてくる。 ミスコン会場までの長くてアクシデントだらけの道のりも、考えられないほどの障害の連続も、ハラハラしつつ、いつのまにかこの家族を心から応援しながら見ている。 サンダンス映画祭に出品されたこの映画は、インディーズにもかかわらず全米で口コミによって大ヒットに至ったのだそうだ。 そして、オスカー4部門のノミネート…となったのである。 少々強引な展開もあるけれど、この個性的なメンバーの誰かに自分自身を重ねる人もいるかも知れないし、共感を感じる場面がきっとあると思う。 そして、気づくと笑いながら泣いているかもしれない。 見ていて腹立たしいような自己中心的な集まりだった家族が絆をとりもどす…と言っても、説教くさい押しつけがましい家族論では全然無くて、むしろこのバラバラな人達が、結束の固いクールで温かい素敵な家族になっていくのを見ていると、とても微笑ましく幸せな気持ちになれる。 家族云々以前に、人と人との繋がり…って面倒なこともあるけれど、それでもやっぱりいいものだな…ということを思い出させてくれるだろう。 (2008/3/1) |