あの子を探して
http://www.sonypictures.jp/archive/movie/anoko/
監督 : チャン・イーモウ
出演 :ウェイ・ミンジ、チャンホエクー
   チャン・ジェンダ、カオ・エンマン

(1999年 中国)


 中国の貧しい山村。
生徒数28人の小学校で、ただ一人の教員カオ先生が事情があって長期の休暇を取ることとなった。
先生の代わりに、村長が連れてきたのは、代用教員というには幼すぎる13歳のウェイ・ミンジ。
カオ先生は、自分がいない間に生徒が一人もやめなかったら10元のご褒美をあげようと、ミンジに約束する。
この村は貧しく、小学校をやめて働く子どもが多いため、生徒数は減るばかりだったのだ。

 子供達は最初なかなかミンジを先生として認めず、授業をするようになってからも、言うことを聞かない、家に帰ろうとする、教室は好き勝手な事をする子供達で収拾がつかない。
中でも一番の悪ガキ、チャン・ホエクーは、いつも教室を混乱に陥れ、ついにはカオ先生が託していった貴重品のチョークをケンカの挙げ句に踏みつぶしまう。

 ところがある日突然、借金を抱え病の床にある母を助けるため、ホエクーは街に出稼ぎ行ってしまった。
カオ先生との約束が…、ミンジはホエクーを探しに街に出る決心をするが、バス代すら無い彼女は子供達と話し合いながら、ホエクーを連れ戻す方法を考え始める。
必要に迫られた必死の作戦会議は、行き帰りのバス代の計算、それを捻出するためには工場の煉瓦を何個運べばいいか、1日何時間で何個、だったら何日間…?  と、いつの間にか本格的な算数の授業となっており、今までおどおどしていたミンジが、どんどん「ウェイ先生」の顔になっていく様子が可笑しい。

 そうこうして苦労の上なんとか街にたどり着いたミンジだが、ホエクーは行方不明になっていた。
何の名案もツテもないミンジのその後は…。

チャン・イーモウ監督は、それぞれの配役に、同じ職業をしている普通の人を選んでいる。
だから役者の名前は、登場人物の名前とイコールなのだ。
生き生きとした子どもの表情は、脚本のない、時間をかけた丁寧な撮影から生まれたものだそうだ。
子どもの素の表情を上手くとらえることが出来たら、もうそれだけで人の心を動かせることはシロウトでも解っている。
ただ、それを映画にし、一つのストーリーを創り出すには、どれほどの根気がいることだろう。

けれどその努力は見事に実を結んでいて、最後には一人一人の子どもたちを今すぐ思いきり抱きしめたい衝動に駆られてしまうほどだ。
男らしくなったホエクー、真面目にがんばった優しい学級委員さん、時にはケンカし、時にはミンジを困らせたけど、無心に煉瓦を運んだ子どもたちみんな。

そして、一番がんばったミンジ…いえ、可愛い可愛いウェイ先生。

2004/9/24


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