原作はヤングマガジンに連載していた同名ヒット作。
その作品は読んだことがないのだが、あの園子温監督が映画化し出演する役者さんたちも大好きな人ばかり・・・なので公開を楽しみしていた映画だった。

　ポケットには小銭しか無く、何のあてもなく新宿を彷徨う龍彦が真虎に拾われたことから突然運命が変わってしまい、飛び込んだスカウトの世界。

そんな新米のスカウトマン龍彦が歌舞伎町で次々女の子たちをスカウトし、風俗やキャバクラなどに送り込む
・・・言わば非情なお仕事なのだが龍彦がちょっと違うのは彼のポリシーが
「俺がスカウトした女の子は、必ず幸せだって言わせます」。
そのポリシー故に彼は人一倍苦労することにもなるのだが。

歌舞伎町には彼が所属するバーストの他に、スカウトを生業とする組織ハーレムがあり、両者の激しい抗争がこの作品のメインストーリーになっている。
園子温監督にしてはソフトな作品だけれど、PG12指定になっているし暴力シーンは満載だ。
龍彦が、敵対するハーレムの秀吉たちに歌舞伎町の裏通りに連れ込まれ寄ってたかってボコボコにされるシーン。
そこで秀吉が取り出したペットボトル。
一体何に使うのだろうと怖くて怖くてハラハラする。
・・・もう、見ているだけで痛かった、思い出しても痛い・・・。
そんなシーンが次々と出てくる。

そして途中度々クサいセリフが。
一昔もふた昔も前の青春ドラマ的なセリフなのだが、龍彦が言うとなんだか愛らしい。
主人公であるこの龍彦のキャラが原作がヒットした要因なのだろうか。
周囲の登場人物のキャラクターもそれぞ魅力的で映画でもとても丁寧に描かれている。

伊勢谷友介演じる真虎は、いつもビシッとスーツを着ていて乱れることがない。かっこいい。
この暴力シーン連続の中でも確か彼は一度も殴られない。
どんな役でもピタッとハマる山田孝之が今回演じる秀吉は、強く、ずる賢く、力が有る。
けれど、どこか弱さを抱えている・・・それはだんだんと終わりに近づくにつれ解ってくるのだが。
そしてそれが秀吉というキャラの魅力でもあると思う。
沢尻エリカは、風俗嬢のアゲハ役で、可愛くてエロティックで、その純粋さと彼女の置かれている状況のギャップを悲しく切なく演じていた。


・・・という、こんな世界にアレルギーがなければ、とてもオススメの作品です。
　

それと、この作品の実写化は初めてではなくて、すでに2007年にテレビ朝日がドラマにしていたようです。

こちらもちょっと見てみたくなりますね。
DVDが出ているみたいですよ。