ショコラ 
CHOCOLAT
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監督 : ラッセ・ハルストレム
原作 : ジョアン・ハリス
脚本 : ロバート・ネルソン・ジェイコブス 
音楽 : レイチェル・ポートマン サントラ

出演 : ジュリエット・ビノシュ(ヴィアンヌ) 
    ヴィクトワール・ティヴィソル(アヌーク) 
    ジョニー・デップ(ルー)      アルフレッド・モリナ(レノ伯爵)
    レナ・オリン(ジョセフィーヌ)        ジュディ・ディンチ(アルマンド) 
(米 2000)
   

 「サイダーハウス・ルール」のラッセ・ハルストレム監督の作品、しかもジョニー・デップが出演…ということで、以前から観たいと思っていた映画だったのだが、なんとなく見そびれて、ようやくWOWOWのバレンタイン特集という企画で放送された時に観ることが出来た。
本当にバレンタインにぴったりの映画、心温まるファンタジーだった。
ただ、個人的なことだけれどジュリエット・ビノシュとジョニー・デップという組み合わせがなんだか感覚的にしっくり来なかったせいか、いまひとつのめり込むことが出来ずに終わってしまった感じもある。

 この映画の舞台となる小さな村は、ラース・フォン・トリアーの「ドックヴィル」とか、「奇蹟の海」の舞台にもなっているような場所だ。
保守的で視野狭窄的な価値観に凝り固まった、排他的な共同体。
規則とは、宗教とは、秩序とは…というようなことを改めて考えさせられる背景だ。
主人公のヴィアンヌ母娘も、流れ者のルーも、そんな場所にやってくる「よそ者」なのであるが、そんな彼らが少しず村と関わり、摩擦を起こしながらも結局はこの村を変えていく。
ヴィアンヌがこの村の一角に開いたチョコレートショップと、そのチョコレートが、彼らの「心の鍵を開く」のだ。

村長のレノ伯爵によって抑圧されている村の人々は、当初チョコレートを堕落の食べ物と決めつける。
一方、客の好みにあったチョコを見分ける魔法のような力を持ったヴィアンヌが、そんな村人達をひとりひとり、根気よく本当の自分に目覚めさせていくのだ。
レノ伯爵の凝り固まった指導と圧力に対して、村人達それぞれの心に産まれつつあった小さな「?」は、ヴィアンヌのチョコレートの力を借りて自由に動き始める。
彼らはきっと、長い長い間心の中にある「?」に気付かないふりをし、昨日と同じ今日、今日と同じ明日を守っていくことと引き替えに、自分で考えることを止めて来た、そしていつのまにかそれがすっかり身に付いていたのだろう。

保守的で変化を恐れる村人と、ジプシーのような生き方をしてきたヴィアンヌやルーはまさに対照的だ。
人間の多くは、今まで信じてきた価値観を、変えることをとても恐れる。
変化を受け入れるエネルギーと勇気を必要とし、何よりもそれは昨日までの自分を否定することでもあるからだ。
そしてそれは、よくある話、我々の身近にいっぱい例のある話、身に覚えのある話だ。

劇中、素敵なジョニー・デップのギター演奏を聴くことができます。

 

 


(2006/2/14)
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